学習eポータル「みらeポータル」について

公開日:2023/3/15(水)

筆者:岸田努(株式会社ネットラーニング 代表取締役社長)

GIGAスクール構想と学習eポータル

2019年にGIGAスクール構想が閣議決定され、1人1台の端末ならびにクラウド活用とそれらに必要な高速通信ネットワーク環境の実現が、文部科学大臣からのメッセージとして示されました。
現在、学校教育へのデジタル教材や学習支援ソフトウェアの導入が加速する中で、わが国の初等中等教育に適した、共通で必要な学習管理機能を備えたソフトウェアシステムとして、学習eポータルの開発が進んでいます。

文部科学省総合教育政策局教育DX推進室によれば、学習eポータルの機能は大きく以下の3つとなっています。

  1. (1)学習の窓口機能(ダッシュボードや学習ログの可視化や分析など)
  2. (2)連携のハブ機能(学習ツールとの連携やシングルサインオンなど)
  3. (3)文部科学省システムMEXCBT(メクビット)のアクセス機能(全国学力・学習状況調査など)

デジタル学習環境による学びの個別最適化の推進

学習・教育オープンプラットフォームを実現するために設立されたICT CONNECT21は、学習eポータル標準モデルを示しています。
2022年10月31日には、学習eポータル標準モデルVer.3.00暫定版(α版)の中で、国際標準規格やわが国固有の規定と標準モデルとの関係が、下図のように示されました。

学習eポータル標準モデルVer.3.00暫定版(α版)

引用:ICT CONNECT21新しいウィンドウで開く

学習eポータル標準モデルVer.3.00は、2023年3月末に正式版がリリースされる予定です。なお、上記図の日本固有の規定の「OneRoster Japan Profile」は、学習eポータル―校務支援システム間の名簿情報の転送に関する規格となります。
国際標準規格である「LTI」と「xAPI」は、「LTI」が学習eポータル―MEXCBTやツール(デジタル教科書・教材・学習ツール等)間のデータ連携、「xAPI」はLRS(Learning Record Store)への学習行動の記録に関する規格となります。

個人の学びの成果やパスウェイ(道筋)が学習者のものであるならば、学習eポータルをハブとしたデジタル学習環境は、進学や転学等があっても、データポータビリティが確保され、切れ目なく活用することができる持続可能なエコシステムでなければなりません。そういった意味で、学習eポータル標準モデルVer.3.00が示した国際標準規格やわが国固有の規定の実装により、学習者は個別最適な学びを実現し、自らの学びのパスウェイを確認した上で、さらに学びを深めていくことできるようになります。また、学校設置者や関係事業者にとっては、クラウド上で多くの教育・学習データの収集と分析が可能になることで、新たな価値が創出されることが予想されます。

みらeポータルによる学びのエコシステムの実現

ネットラーニングは、2023年2月21日に、学習eポータル「みらeポータル」のサービス提供を開始しました。
「子どもたちひとりひとりにとっての未来へのとびらになってほしい」という願いをこめた「みらeポータル」。

当社は、「LTI」や「QTI(Question and Test Interoperability)」、「オープンバッジ」など1EdTech Consortiumの国際標準に関する知見や、企業・高等教育分野を中心に9,000万人を超えるユーザーに統合型教育・研修プラットフォーム(LMS)を基盤としたさまざまなサービスを提供し、教育・研修・学習を支えてきた経験を活かし、わが国の初等中等教育分野において、「みらeポータル」を通じた「学びのエコシステム」の実現に寄与してまいります。

みらeポータルサイト

みらeポータルサイト

筆者プロフィール

岸田 努

株式会社ネットラーニング 代表取締役社長

外資系情報サービス業で大手企業中心に情報システムを導入。2003年ネットラーニングへ入社。eラーニング導入初期の2000年代においてeラーニング市場作りと開拓を行い、大手企業を中心にコンサルティングに携わり数々の研修を成功に導いた。2021年に代表取締役社長就任。外部団体への参画も精力的に行い、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会、特定非営利活動法人デジタルラーニング・コンソーシアム、一般財団法人オープンバッジネットワークの理事も務める。

   

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