ChatGPTと教育・研修の未来

公開日:2023/3/22(水)

筆者:岸田努(株式会社ネットラーニング 代表取締役社長)

2023年1月にChatGPTは史上最も急成長している「アプリ」(*1新しいウィンドウで開く)になりました。
ChatGPTは、OpenAI社によって開発された大規模言語モデルの一種で、無料で公開されています。誰でも自由に使用することができ、人間が書いたような自然で詳細な回答を返すことから注目が集まりました。

では一体ChatGPTは何ができるのでしょうか?
ATDのトレーニング専門家は学習という観点で以下のようにブログでまとめています。(*2新しいウィンドウで開く

ChatGPTができること
  • 文章を書く
  • 文書を要約する
  • プログラムコードの記述と検証
  • 文書の翻訳
  • テストやクイズの作成と採点
  • ゲームの作成
  • 文書の改善
  • 研究の実施

上記のようにChatGPTは想像以上にさまざまなことができることがわかります。
試しにC言語でプログラムの記述を行い早速検証してみました。ChatGPTからの回答は以下の図の通りで、C言語とは記載していないのにChatGPTからはこれはC言語の構文であり、プログラムについて詳しい補足説明まで加えて回答が返ってきました。驚くべき回答能力です…。(もしくは処理能力というべきかもしれません。)

そして今、教育・研修分野においてChatGPTの活用についてさまざまな議論が行われています。
米国のニューヨーク市教育局は、生徒の思考力を奪うとしてChatGPTの学校での使用を禁止しました。
一方でシンガポールの教育省はChatGPTなどのAIツールを使用して学習を強化する方法を教師に指導しています。(*3新しいウィンドウで開く

カンニングなどの悪用の懸念に対しては、教育大臣は学生には基本的なAIの概念を理解し、そのようなツールに過度に依存しないように教えられると述べています。電卓が生徒の基本的な数学力を落としていないのと似ており、そして学生はAIツールがどのように機能するかを理解し、評価できなければならないと答えています。

なお、OpenAI社は企業向けのサービスとしてAPIの提供なども開始しており、米Microsoftのクラウドサービス「Azure OpenAI Service」でも近く提供が始まる予定です。こうしたことからLMS・LXPやHRプラットフォームへの組み込みも近く始まることが予想されます。

例えば、ChatGPTを利用して各自にパーソナライズされた学習教材を生成したり、eラーニングコースの作成を支援したりすることができるようになるでしょう。また研修担当者はChatGPTを使用して、学習者の能力に基づいてテストを生成できます。
また上記のC言語の説明のように教材の説明や要約を生成することもでき、学習者の理解をサポートするのに役立てることができます。
AIとともに学ぶ、そうした新しい時代はすでに始まっているのでしょう。

最後に、学習管理システムとChatGPTは共存できるか?をChatGPTに質問してみました。回答は以下の通りで、驚きを隠せません。
新しいアイデアやさまざまな相談についても今後ChatGPTなどのAIにアドバイスを求めることが日常的になることはそう遠くないと感じました。

※正確性を保つためにChatGPTには以下の英文で質問をしました。その回答を日本語に翻訳したものが上記となります。
Can a learning management system and ChatGPT coexist?

筆者プロフィール

岸田 努

株式会社ネットラーニング 代表取締役社長

外資系情報サービス業で大手企業中心に情報システムを導入。2003年ネットラーニングへ入社。eラーニング導入初期の2000年代においてeラーニング市場作りと開拓を行い、大手企業を中心にコンサルティングに携わり数々の研修を成功に導いた。2021年に代表取締役社長就任。外部団体への参画も精力的に行い、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会、特定非営利活動法人デジタルラーニング・コンソーシアム、一般財団法人オープンバッジネットワークの理事も務める。

   

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