日本でも企業向けeラーニングは、米国とおなじころにはじまった。しかし、本格的にeラーニングが注目されはじめるのは、米国でブレイクがあった1999年春ころからだった。
ネットラーニングの創業は1998年1月であり、eラーニング起業としては、ぎりぎりのタイミングだと感じていた。98年秋から99年春にかけては、米国のベンチャー企業との合弁を模索していた。しかし、米国のeラーニング市場のブレイクにより、かれらは海外市場を考える余裕を失い、われわれは、待てないと考え、独自の事業化にふみきった。
2000年4月の8コースリリースをスタートに、ネットラーニングは新コースを毎月多数開講していった。このころ、eラーニングを提供する会社は、日本でも数十社になっていた。
日本の企業向けのeラーニングは、米国の3年おくれと言われたのはこのころだ。日本でも、情報技術者教育から導入がはじまったが、米国でその後大きな市場になった金融機関むけやヘルスケアなどの分野への大きなひろがりは、日本では見られなかった。
日本では、予想通り、グローバル企業からeラーニングの導入がはじまった。米国のグローバル企業が、eラーニングを知的競争力基盤の強化の決定的な武器として活用していることを、日本のグローバル企業は熟知している。トップからの強い指示で、はやくからeラーニング導入に動いた企業も少なくない。
ある会社でこのような体験をした。1999年の秋に、世界的に著名な日本のグローバル企業の専務に時間をいただいた。当時は、eラーニングの説明からはじめなければならない状況だった。話をはじめて20分、専務が言われた。「eラーニングを始めるために、当社は、すでに6月(1999年!)に研究所をつくった。いますぐ、チームを呼ぶからすぐに打ち合わせに入ってほしい。あなたがたに、出資もしましょう。」当時、ネットラーニングの社員は、3名。LMSもコースもまだない、ただ、事業コンセプトだけがあった。そのような会社をeラーニングのパートナーとして選んでいただいた。
そのような経験は、この会社だけではない。いくつも、経験することになった。当初から、グローバル企業には、強いニーズがあった。