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第12回 多様化するeラーニング |
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8月1日から3日まで、東京ビッグサイトで、e-Learning WORLD 2007が開催されました。出展会社をみますと、じつに、3分の2が今回初めての新しい会社です。
eラーニングは、いま、どんどん多様化し、進化の爆発のような様相を見せてきました。
今回は、多様化するeラーニングについて書きます。
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eラーニングがつかわれるシーンが多様化しています。分野が多様化しているだけでなく、技術や端末も多様化しています。音声や動画もどんどん使われ始めました。
何が起きているのでしょうか。
eラーニングの歴史には、いくつかの節目がありました。
2000年はeラーニング元年と呼ばれました。それから2002年ごろにかけては、多数の企業の参入があり、市場も急拡大したのですが、以後、ネットバブルの崩壊と重なって、市場の伸びがさえなくなります。導入したけれど使われないeラーニングが目立った時期でもあります。イントラネット用のLMS販売を基本とするビジネスがしだいに行きづまり、主力企業の撤退もはじまりました。
2003年には、日本的なeラーニングが確立されはじめて、米国が必ずしも先行事例でないことが認識されてきます。
そして、2004年夏ごろから、市場が導入期を脱し、成長期に入りはじめました。 2005年ごろから、市場の成長がきわだってきます。eラーニングがIT系ビジネスではなく、教育ビジネスであることが明確になることと、成長の開始が重なっていました。
イントラネット型のeラーニングからインターネットを用いたASP型へ主流がかわったり、ユーザーの関心が「運用」へむかったのも、成長期にはいった時期と重なっています。
2006年3月ごろ、パソコン上の動画に関する人々の感性に大きな変化があらわれ、eラーニングにも強い影響を与え始めています。 そしていま、eラーニングの多様化が爆発的に進み始めました。まるで、生物の進化のプロセスであらわれた進化の爆発のようです。
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いよいよ、多様化とともに本格的なeラーニングの活用と進化の爆発がはじまりました。
eラーニング自身は、まだ、本来のeラーニングの10%ほども実現していません。まったくの序の口にあります。そのeラーニングが、いよいよ、さまざまな場面でさまざまな人たちに、さまざまに活用される動きが加速されているのです。
まさに、そのときがきたということでしょう。
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ふりかえってみますと、eラーニングは、まず、情報技術者の技術教育からはじまりました。個別教育であるeラーニングの特長が、本来個別教育であるスキル教育にうまく活用されたのです。
ついで大規模に活用されたのは、個人情報保護対策などの全社員研修、あるいは、内定者研修などの分野でした。全社員研修では、eラーニングでしか実現できない大規模研修や履歴管理などが採用される理由でした。内定者研修では、どこでも学習できることや、コミュニケーションの手段としても有効なこと、学習効果が抜群であることなどから、eラーニングの独断場になりました。
さらに、販売員や販売店の研修から管理者などの研修にいたるまで、eラーニングの活用シーンが拡大し、次第に、業務の核心的な分野での研修へと発展してきています。
eラーニングが採用される理由も、個別研修であること、大規模に実施できること、履歴管理をできること、どこでも学習できること、学習効果が大きいことなどから、コスト削減効果にいたるまで、つかわれるシーンによりさまざまです。
とりわけ、最近は、大規模なコスト削減効果にも注目があつまってきました。 400万円で実施していた教育研修を100万円で実施できるという数百万円のコスト削減ではなく、4億円の教育研修を、より効果的に1億円で実施できるという億単位でのコスト削減です。
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これもeラーニングかというほど多様化しはじめました。「検定ごっこ」などもそのような動きですね。ニンテンドーDSも注目すべきかもしれません。iPhoneの日本上陸も待たれます。iTunesでは、ネットラーニングが提供する英会話番組English Aya Pod が総合1位になりました。
eラーニングが活用される端末も多様化しています。パソコンはもちろん、携帯電話、iPodなどから、ネットにつながるあらゆる機器へ可能性がひろがっていきます。つかわれかたも、教材型から遠隔教育の講義型にいたるまで多様です。「ネットで集合教育」という積極的な活用も目立ってきました。
利用者も、企業や教育機関から個人にいたるまで、どんどん普及が広がっています。先行する企業の社内研修で活用されるシーンもますます多様化しています。最近は、eラーニングビジネスを立ち上げる企業もめざましく増えてきました。
つかわれる技術も多様化しています。フラッシュの動きがある画像や音声、動画のストリーミングなども必要に応じて、豊富に活用されはじめています。
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これだけ、端末や技術、つかわれるシーンが多様化すれば、それに対応したLMS(ラーニングマネージメントシステム)も、めざましく変化し発展しているのは必然です。旧来のイントラネット型のLMSでは、ダイナミックな変化に対応しきれていないのが現状です。
今後、この爆発的な多様化を、統合された単一のLMSでサポートすることが求められます。ネットラーニングでは、それだけではなく、さらに周辺のサービスも統合された単一のプラットフォームで提供していきます。LMSをふくむこの単一のプラットフォームをNLSP(ネットラーニング・サービス・プラットフォーム)と名づけています。
このLMSを、SaaS(サース)によって、ユーザー企業や、eラーニングビジネスにとりくむ企業に提供いたします。
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多様化は、多くの企業にとってビジネスチャンスです。無数のニッチもうまれています。そこをめざして、多数の新規参入があります。
ビジネスとしても、とくにコンテンツ系の各社は、しっかりした実績をあげはじめています。コンテンツ系は、どの企業も元気だといってよいでしょう。これは、eラーニング業界においては、かつてない状況です。
しかし、あまりにも早い進化の爆発に、各企業ともおいついていない状況もあります。競合というより、フロンティアをめざしていっせいに駆け出して、スピードを競っています。
同時に、ネットラーニングのような総合的な企業にとってもビジネスチャンスです。多様化を組み合わせて単一のプラットフォームで提供するニーズや、多様化をいかした総合的なサービスの提供が必要になってくるためです。
多様化は、同時に本格化でもあります。
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多様化は、一方で、本格的な活用と同時に進行しています。企業研修におけるeラーニングの活用は、業務の中核分野にまで波及しはじめています。とくに、知的労働が業務の中心をしめる業界において。
多様化と本格化、これが、ブレイクしはじめたeラーニングの現段階です。
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2007/08/04 岸田徹
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