eラーニング 内容高度に コスト抑制需要 見込む 企業向けeラーニングの講義内容が高度化しはじめた。最大手のネットラーニング(東京・新宿、岸田徹社長)は管理職向けコースを新設。同業他社もビジネススキルや内部統制関連のプログラム充実を図り始めた。従来はパソコンソフトの活用など基礎学習が中心だった講座内容が多様化するのと並行して、受講者も新入社員・若手社員から管理職まで広がっている。景気後退のなか、人件費や交通費などコスト抑制にもつながることから、今後も需要拡大が見込まれる。 管理職向けにコース富士通系 ビジネススキル充実 約2800社に提供実績のあるネットラーニングがこのほど新設したコースは、「成果を出すタイムマネジメント」「説得力のあるプレゼンテーション」「チームが活性化するコミュニケーション」の3本。いずれも管理職やその候補者が対象だ。部署の生産性アップや部下との効果的なコミュニケーションなどを学習目標に設定した。 同社をはじめeラーニングの講座はパソコン関連や語学、情報技術系の講座が多く、対象も若手社員や内定者などが中心だった。中堅社員やチームの力不足を経営課題とする企業が多くなり、「管理職向けの上級講座を求める声が増えた」(岸田徹社長)ことが開講のきっかけという。各講座とも企業研修の講師やビジネス書の執筆者などが監修。自分の会社の組織図を作成する演習を組み込むなど、すぐ実践できるよう工夫した。 富士通ラーニングメディア(東京・港、岡田恭彦社長)は昨年、ビジネススキルや情報セキュリティーなど応用系講座を新設し、今年もプログラムを拡充する方針だ。同社の08年度のeラーニング売上高は11%ほど伸びる見込み。基礎講座から応用系に人気が移っており、08年末の利用首位は「パワーポイントを使ったビジネス・プレゼンテーション」となった。 対人コミュニケーションやリスニングスキルの講座も好調で、集合研修で学んでいた内容をeラーニングでカバーする動きがあると分析する。 ライトワークス(東京・千代田、江口夏郎社長)はコンプライアンスや内部統制関連の講座が人気で、これらの受講者数は前年比で倍増。製造業のほか流通業の利用も増え、派遣・契約社員やパートの教育に活用されている。接客など、個別企業からのカスタマイズ依頼も増えている。 矢野経済研究所によると、08年度のeラーニング市場規模は1,481億円と05年度の約1.5倍に成長する見込み。人件費や交通費がかからないため「景気後退時でも強みを発揮する」(ネットラーニングの岸田社長)。社員数や採用数を削減する一方で社員教育に力を入れる企業の需要が期待されている。 (図表省略)