インターネットを使って学習するeラーニングの需要が徐々に伸びている。これまで大手企業が集合研修に替わる研修手段として活用してきたが、中小企業や学校、個人にも広がりつつある。eラーニングの今後の展望についてネットラーニング(東京・新宿)の岸田徹社長に聞いた。 −−eラーニング市場の現状をどう見るか。 「業界では現在の市場規模は350億円程度、提供する会社は多く見積もって600社といわれている。日本では2004年夏ごろから普及に弾みがつき始めた。5000人以上の社員を抱える企業では70%が導入を済ませた」 −−なぜ急速に導入が進んだのか。 「収益が回復し始めた企業が人材への投資を増やしているためだ。人材をきちんと育成しないと生き残れないという考え方からeラーニングを活用しようとしている」 「グローバル企業は変化に合わせてt研修内容を変えていかなくてはいけない。一方で、一人ひとりの教育にもち密さが要求される。それぞれの学習レベルやスピードに合わせて技能を磨けるeラーニングは最適だろう」 −−ネットラーニングのシステムの特徴は。 「チュータという専属スタッフを置き、個人の問い合わせや指導について適格な対応ができる仕組みを持つ。一般的なeラーニングは集合研修の延長で全員一律の学習を提供しているが、わが社は個別教育に近い」 「現在は情報技術やビジネスマナーから法令順守、内定者向け研修まで様々な需要に対応している。販売店のディーラー向けに商品知識を教える研修もある。eラーニングなら研修内容を迅速に更新できる利点があり、制度変更などにも対応できる」 −−今後の展開は。 「すでに内定者向け研修で大学と連携を始めている。学生にもeラーニングが重要だという認識が広がり始めており、今後は個人向けの市場開拓が重要なカギを握る。携帯電話専用の研修内容も開発に着手しており、研修開発に力を入れたい」 (聞き手は佐々木元樹)