NetLearning in News ~掲載記事一覧~

Amusement Japan 2005年8月号
「企業研修の新ツールはこう使う!eラーニングの研究」記事内で当社紹介
eラーニング導入で企業研修が大きく変わる!?
すでに大企業の9割以上が導入するeラーニングのメリットとは?

(中略)

 企業が社員研修にかける費用も、80年代後半をピークに90年以降は下がる一方だったが、2000年頃から再び上昇し始めている。

 そんな折、タイミングよく現れたのがインターネット上で行う『eラーニング』だった。

(中略)

 日本でeラーニング熱が高まり始めたのは2000年頃。人材育成のありかたとコンピュータの活用方法を模索していた日本企業でも、eラーニングは受け入れられた。現在、eラーニングを導入している企業は10%程度。ただし、社員数5000名以上の大企業になると、90%以上が導入済みといわれる。

(中略)

 日本におけるeラーニングのコンテンツプロバイダー最大手で、約1400社にもおよぶ企業の社員研修・教育を受託している(株)ネットラーニングの岸田社長は、当時をこう振り返る。

 「企業が求める研修が多様化している上に、企業内における人材教育の重要度が増していた時期。予算を増やさずに研修内容を充実させる方法を企業は模索していました。そんなとき、インターネットにさえ接続できれば教育が施せるeラーニングが登場しました。アメリカより数年遅れたお蔭でADSLや常時接続環境も整い始めていたので、弊社は2000年のサービス開始当時から常時接続でネットに繋ぎながら学習するという方式でコンテンツを提供できました。」

 岸田社長によれば、企業がeラーニングを利用するメリットは大きく分けて3つ。

  • 一般的な研修よりかなり安い。
  • パソコンとネット環境さえあればどこでも学習できる。
  • 個人のレベルに合わせて個別学習ができる。

という点だ。

 まず1番目の「料金の安さ」だが、研修会場や人数分のテキストを用意する必要がないなど、通常の研修より安くできる理由はいくつかある。今やどんな職場でもパソコン・ネット環境は整備されているので、研修用に環境を整える投資が必要ない。

 2番目は、企業のあり方の変化と関係がある。昔の企業であれば、良いものさえ作れば売れたので、研修でも「ビジネスマナー」や「仕事に直結したスキル」だけ教えればよかった。そういうものならば、集団で教えることでも身につけられる。

 ところが、今は「コーポレートガバナンス」や「コンプライアンス」など、ユーザーに対する企業の姿勢が問われる時代。となると、一人一人に確実に届く学習法が必要となる。加えてビジネスの回転スピードが速くなっていくので、次から次へと結果を出していかなければならない。そんな中、通常営業の時間に全社員を一堂に集めて説明会を開くというやり方は、大きな時間のロスとなる。

 その点、eラーニングなら各人が時間の空いたときに、都合のいい場所で学習できる。場合によっては自宅でも学習できるのだ。時間や場所という制約から解放される。

 ネットラーニングの研修プログラムを活用している、ある大手スーパーマーケットチェーンでは、かねてより全国の店長クラスに対する研修が課題になっていた。全国に数百店舗も展開するスーパーでは、店長クラスを集めて研修を行うことは困難だった。しかし、eラーニングの導入で、全国の店長に対して、会社の基本戦略をベースに「店ごとの戦略作り」を指導することが可能となった。その結果、この店では大いに効果を上げているという。

 3番目は、同じ教育プログラムであっても、個別に学習することができる点だ。eラーニングを活用するメリットと言えるだろう。各人のレベルに合わせて学習できるだけでなく、学習結果を数値化できるので、確実に苦手分野を把握できる。

 仕事においては「学ぶ」ばかりでなく「習う」ことが重要。一方的に知識を教えてもらうのではなく、自ら練習していくことでスキルは上がっていくものだ。といっても、講義形式の集団学習では「学ばせる」ばかりになってしまいがち。ところが意外にもeラーニングは「習わせる」ことにも効果がある。繰り返し学んだり、動画や音声を使って実際の行動や現場をシミュレーションできたりする上に、インターネットの特徴である「双方向性」を活用すれば質問することなども可能。何より社員自らがパソコンの前に座り、気軽に学習サイトに入ることができるので、主体的に学習させることになる。

 こうした状況を岸田社長は「企業研修が『Training(訓練)』から『Learning(学び)』へ変化している証拠」だという。

 本人のレベルに合わせて苦手分野を明確にできるということは、学習記録を管理しやすいということにも繋がる。ネットラーニングでも、企業の研修担当者や人事担当者向けにプロセス管理用の画面を作り、各社員がどのような頻度で研修を受けているか、どれくらいの成績を収めているか、どんな分野が苦手なのか、といったことが一目で見られるようになっている。これならば効果測定もしやすく、上司や研修担当者がリアルタイムに学習方法を把握することができる。

 ネットラーニングでは、617ものコースを持っているが、中には企業ごとにカスタマイズしたプログラムもある。企業の考え方やコンピテンシー、管理職向けに考課方法を教えるコースなどをオリジナルで作成しているのだ。携帯電話を使ったオリジナル講座などもあり、今後は技術の進歩にともなって講座内容もブラッシュアップしていくという。

 しかし、企業において重要なのは技術ではない。大事なのは、やはり内容だ。

 「まず、研修を行う企業は、何のために行う研修なのかをよく考えて、eラーニングを導入してください。そして社員が主体的に学習し、自ら考えてくれるようなプログラムを活用すること。その上で、学習状況をきちんと管理することも重要です。社員が主体的に学習できるからといって放っておくのではなく、社内に学習のサポート体制を作って学習プロセスを管理しましょう。」(岸田社長)

 最近、欧米では、「CLO(Chief Learning officer/最高教育責任者)」と呼ばれる役職を設ける企業も登場した。今後は企業における人材育成のニーズはますます高まるだろう。

 「eラーニングなら、都心の一流企業が受けているものと全く同じ教育を、地方の小さな企業の社員にも受けさせることができます。これはとてつもなく大きなチャンスです。まだ気づいていない中小企業も少なくありませんが、今こそチャンスのときと考え、積極的に取り組んで欲しいと思います。」と岸田社長も勧める通り、日本のeラーニング市場はまだまだ成長過程にある。この機会に検討してみてはどうだろうか。


(文:牛島美笛)

Amusement Japan 2005年8月号より抜粋