NetLearning in News ~掲載記事一覧~

人材教育 2002年2月号
特集「組織変革を促すe-ラーニング」
「先端学習システムによるe-ラーニング6」
チュータの役割と重要性(P70)

現在、いろいろなモデルが実験されているe-ラーニング。この先も、教育効果をあげるために、さまざまなe-ラーニングモデルがでてくるだろう。そんななか、e-ラーニングにおけるチュータ・サポートはどのような役割を担うことができるのか。教育研修における人の役割を重要視するネットラーニング社代表取締役社長の岸田 徹氏に論じていただいた。


教育には人間が介在すべき

私は、教育には人間が介在することが大切だと思っている。たぶん、それは、教育というものの本質にかかわっている。教育は、販売でなくサービスなのだ。人間が行うものなのだ。教育や研修は、人が人に対して行い、結果に責任を負うべきものである。

では、e-ラーニングにおいて、人は、どのような役割を果たすことができるのだろうか。それは、まだまだ研究すべき課題であり、今後のe-ラーニングの発展にとって、重要なテーマであると思う。 

教育・研修において、指導を行う人がもっとも大切であるとするなら、e-ラーニングにおいて、コンテンツは学習の素材であり、チュータの指導が不可欠になる。CD-ROMと異なるネット教育の最大の特徴は、ネットをとおして、チュータと学習者がコミュニケーションできるところにあるといえる。だからこそ、e-ラーニングは、研修において単なる補完的なものではなく、もっとも基幹的な役割を果たすのだ。


担任制のチュータの役割は、3つある


第1は、コースの中にある記述式課題の添削指導だ。情報技術のコースなら、プログラムを書かせて、添削することもできる。あるいは、銀行員には、ある融資の事例の分析と判断を書かせて、指導することもできる。e-ラーニングがMBAなど高度の教育にも向いているといわれるのは、チュータの存在が前提になる。

第2は、質問への解答だ。学習をしていて、何かわからないことが出た時に、人の手助けなしに解決できるだろうか。e-ラーニングは、基本的に自学自習であるが、どこかでつまずいた時に、人の手助けが必要だ。

第3は、最後まで学習をやりとげられるよう、励まし、褒め、支援することである。

実際、当社の事例では、チュータの支援により、修了率は84%を超えている。1,000名近く受講者がいるある会社では、修了率100%、別の1,000名を超えるある会社では、97%を実現している。

e-ラーニングの最大の特徴は、同時に実施できる研修の規模と、One to oneの個別指導にある。個別指導は、人が行って、初めて個別指導として効果が出る。担任制チュータの個別指導があって、はじめて、ネット教育の本当の価値がでてくる。


キャリアカウンセラーの存在が必要


e-ラーニングにおける人の役割として、さらにキャリアカウンセラーの存在がある。チュータがそれを兼ねる場合もあるが、専門のキャリアカウンセラーが、すべての受講生の相談に個別にのることが必要だろう。当社では、今後、次世代LMSとキャリアカウンセラーという人によるカウンセリングを組み合わせていきたい。

チュータやキャリアカウンセラーの存在なくしては効果的なLMSは生み出せない。