NetLearning in News ~掲載記事一覧~

人材教育2002年10月号 -(株)日本能率協会発行-
経営トップを巻き込むeラーニング
セミカスタマイズも可能。
内定者向けe-ラーニングパックを提供 -ネットラーニング社-(P97~99)

内定者研修が、情報技術分野に次ぐ、当面のeラーニング最大の分野として注目されている。入社時の即戦力化をめざし、企業の導入事例が急増しているのだ。ネットラーニングでは、企業の就職内定者を対象とした、ビジネスマナーやビジネス文書などビジネススキルのラインナップを充実させ、コースのセミカスタマイズにも対応するなど、内定者に最適なコースの開発・提供に力を入れている。


受講登録から進捗管理まで研修運営をトータルサポート

ネットラーニングは、豊富なラインナップの既製コースや個別ニーズに応えるカスタマイズコースをASPで提供するe-ラーニング専門ベンダーである。現在の利用状況は、ユーザー企業670社、受講者数14万人、1日の学習量は6万ページにも上る。こうした実績をもとに、ASP型のe-ラーニングの特性を生かし、同社が今力を入れているサービスの1つが内定者向けe-ラーニングである。代表取締役社長の岸田徹氏は、内定者向けe-ラーニングサービスを始めた理由について次のように語っている。

「最近の傾向として、企業が新卒者の採用を決定してから入社までの内定期間が伸びており、なかには1年近くにも及ぶ企業もあります。そこで、長期化する内定期間に優秀な内定者が内定辞退をしたり、他企業へ流れたりしないよう、内定者を囲い込むことが企業にとって重要になります。またこの期間は、内定者と企業の関係がどうしても希薄になりがちです。そのため、入社までに企業の一員としての自覚を持たせ、かつコミュニケーションを取っていくことが必要とされます。このように、企業は内定者とのほど良い緊張関係を維持していく必要があり、そのためにe-ラーニングは非常に有効な手段となるのです」

企業にとっては、長い内定期間に内定者の知識やスキルを、業務を行う上で最低限必要なレベルにまで底上げしておけば、入社後の研修がスムーズに行え、新入社員の即戦力化にもつながる。こうした研修にe-ラーニングを活用すれば、全国各地に点在する内定者に低コストで学習機会を提供することができる。また、卒論等で忙しい内定者にとっては、都合のいい時間に自由に学習を行えるというメリットがある。

ネットラーニングの提供する内定者向けe-ラーニングの特徴のひとつは、研修運営をトータルにサポートすることである。e-ラーニングを行うには、内定者に対する受講案内、IDとパスワードの発行、学習の進捗状況の確認といったさまざまな運営事務が必要になるが、これらの業務はすべてネットラーニングが代行する。

e-ラーニングで最も懸念されるのが学習者のモチベーションの維持だろう。せっかく学習機会を提供しても内定者が学習しなければ意味がない。ネットラーニングでは受講者にメールでテストの結果や進捗率など、現在の受講状況、受講期限などを告知して、学習の促進を図る。遅れている受講者に対しては学習を促すメッセージを送り、受講者が学習を怠けたり、やりっぱなしの状態にならないようサポートする。また、パソコンがつながらないなどのトラブルに対する問い合わせにも対応している。

「内定者にe-ラーニングで知識やスキルを修得してもらうためには、きめ細かな研修運営事務が必要になります。それを当社が引き受けることによって、ユーザー企業は負担なく研修を実施することができます」(eラーニングソリューション部長兼社長室長・吉田俊明氏)。


ビジネスマナー、ビジネス文書などのビジネススキル系コースを拡充

内定者向けコースのラインナップが豊富なことも同社の特徴である。
全ての内定者を対象にした分野としては、「財務知識」、ワードやエクセルなどといったソフトウェアについて学習する「ITリテラシー」、「語学(英語)」などを用意。また、主にIT関連の業務に携わる内定者を対象にした分野としては「IT基礎」、「国家資格」、「プログラミング言語」など全26コースを取りそろえている。修了するまでにかかると想定される標準学習時間は、各コース2時間から60時間までとさまざまである。これらの中から、企業は必要に応じてコースを選択することができる。

ネットラーニングでは、ビジネススキル系コースの充実にも力を入れており、2002年8月には、新たに次のようなコースをリリースした。

●「ビジネスマナー」
社会人としての身だしなみや敬語の使い方、あいさつの仕方、電話応対など社会人の常識として必要とされるビジネスマナーについて学習するコース。

●「ビジネス文書」
ビジネス文書の役割、ビジネス文書を書く姿勢やコツ、FAXやe-メールの書き方について学習するコース。

●「ネットセキュリティ」
企業におけるセキュリティとは何か、セキュリティ対策の重要性、具体的な手段について学習し、セキュリティ対策の重要性を理解させるコース。

●「会社の数字」
身近な商品の値段の決まり方、会社が利益を得るしくみなど、実際に業務を遂行していくうえで最低限必要な数字について学習するコース。簡単な経済用語の解説も含まれている。

●「コンピュータの基礎知識」
コンピュータが動く仕組み、コンピュータの情報の扱い方など、コンピュータがどのようなもので、何ができるものなのかを学習するコース。

どのコースも3時間(コンピュータの基礎知識のみ9時間)という短い学習時間の中で、基本的な社会人としてのビジネスルールや知識をひと通り身に付けることができるようになっている。


アニメーションやクイズを取り入れ受講者を飽きさせない

同社の提供する内定者向けe-ラーニングの各コースは、まず初めに「学習内容」で各学習コースを紹介する。明確な学習目的の理解が必要とされる場合は、「イントロダクション」で、なぜその学習が必要なのか、どんな事を学習するのか、また修了後にはどんなスキルを修得できるのかさらに詳しく説明し、受講者が目的意識をもって学習を進められるようになっている。

各レッスンは、テキストや画像、アニメーションなどを組み合わせて構成されている。例えばビジネスマナーコースにおける職場での挨拶のレッスンでは、画面に部下と上司の会話風景がアニメーションで登場する。漫画のようにフキダシに上司の指示が台詞で表れ、受講者はそれに対する部下の正しい返事を4つの選択肢から選択する。このように工夫されたマルチメディアコンテンツが受講者を飽きさせず、学習に集中しやすい環境を生み出している。

1レッスンは1~3ページと短時間で終了できるようになっているので、受講者は自分の都合に合わせてスムーズに学習を進めることができる。都合のいいところでレッスンを切り上げても、どこまで進んだかが自動的に記録されるので、次回学習する際はIDとパスワードを入力するだけで前回の続きとなるレッスン画面が表示され、すぐに学習を始めることが可能だ。

実際に受講者が知識やスキルを身に付けたかどうかをチェックする機能が、レッスンの終わりにある1問1答式のクイズと、各章の終わりにある確認テストである。質問に応じて答えをクリックすると即座に正解がわかるようになっている。正解がすくに確認できるため、内容をきちんと理解した上で次のステップに進むことができる。

同社のe-ラーニングコースは、初めてe-ラーニングを利用する受講者に対してもわかりやすい構成になっており、画面上の「ガイダンス」ボタンをクリックすれば、メニュー機能、コース構成、画面操作方法や動作環境などの簡潔な説明が表示される。これを読めば、初めて利用する受講者もe-ラーニングコースの機能が理解できるようになっている。

また、コミュニケーションツールとして、「サロン」と「内定者コミュニティツール」が用意されている。サロンは書き込み式の掲示板で、内定者同士がコミュニケーションを図ることができる。また内定者コミュニティツールは、企業からの情報を内定者に提供するための掲示板機能で、企業と内定者のコミュニケーション手段として活用できる。


セミカスタマイズコースで受講者に最適なラーニングを提供

ネットラーニングの内定者向けコースは、既製コースだけでなくコースのセミカスタマイズ化も可能である。例えば、ビジネス文書には企業ごとに使用している雛形がある。内定者には一般的なビジネス文書の書き方を学んでもらうより、企業が実際に使っているビジネス文書を使って学習する方がより学習効果は高い。このように、その企業独自のビジネスマナーやルールに合わせて、既製コースに修正を加えることができるのだ。この”セミ”カスタマイズのよさは、各企業ごとに必要とされているスキルと、ビジネスで一般的に必要とされる汎用的なスキルの両方をうまく取り入れて、ユーザー企業にとって最適なe-ラーニングコースを提供できるところにある。

ネットラーニングが2001年度内定者向けe-ラーニングコースの受講者に行ったアンケートでは、「本などでの学習と比べ、いろいろなアクションがあるため飽きることがなく、長時間でも集中して学習できた」、「アニメーションで視覚的に学べた結果、十分理解できた。まさに『百聞は一見にしかず』だ」、「卒論の時期と重なってしまったので時間がなかったが、e-ラーニングはこのような時に役立った」など、同社のe-ラーニングを評価する意見が多く寄せられている。これまでほぼ100%近い内定者が脱落せずコースを修了しており、ネットラーニングの内定者向けe-ラーニングの効果の高さがうかがえる。

このように、内定者に対して効果の高い学習コースを提供できるのは、同社がe-ラーニングサービスを展開する上で、何が必要とされているのかを十分理解しているからこそであろう。

「企業によって内定者の教育方法は異なりますから、一般的なビジネスコースだけを売り出しても、なかなか受け入れられません。企業ニーズに合わせて最適なコースにカスタマイズすることが、学習効果を高めることにつながっているのです」(岸田氏)

最近では、内定者研修にe-ラーニングを導入する企業は増加しており、岸田氏は、来年にはほとんどの企業が導入するのではないかとにらんでいる。ネットラーニングでは、そうしたニーズに答え、今後も内定者向けの新しいコースやコンテンツ開発に取り組んでいく予定だ。