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生産性新聞 2004年10月15日
高まる「内定者研修」ニーズ 特集
新卒採用内定の早期化で企業に新たな課題

新卒採用の内定早期化が進み、入社する1年近くも前に内定を決めてしまう企業が珍しくなくなった。それだけに、内定者が入社するまでの期間をどうフォローしていくかという新たな課題を企業は抱え始めている。同時に、内定から入社までの期間をもっと有効に活用できないかと模索する企業も増えてきた。企業の内定式や内定式懇親会などがちょうど終わった今、「新卒内定者教育」の最近事情を追ってみた。(斎藤幸江編集委員)

▼内定辞退の防止へコミュニケーションを強化

「”内定者”に対する企業のニーズは、確実に高まっている」---。こう語るのは、eラーニングの各種プログラムを提供しているネットラーニング(本社・新宿区)の代表取締役社長・岸田徹氏。同社の受注は去年比で倍増し、100社を超えている。

「内定者研修には採用予定企業と内定者のコミュニケーションの強化と、入社前教育の二つの狙いがあるが、今年は特に前者のニーズが高まっている。2005年度の採用では全体的に採用数が増え、優秀な学生の獲得が熾烈になった上、内定者数も予定数のギリギリ、あるいはそれを下回る企業もかなり出てきている。そうした状況下、長期にわたる内定期間中の辞退者を防ぎ、全員に入社日を迎えさせるための手段が、強く求められている。内定者側も不安を抱えているので、企業側とつながっている実感をほしがっている」。

メールやWebを活用して内定者とコミュニケーションを図るといった動きはこの6、7年で急速に伸びてきた。新卒採用へのインターネットの活用が普及・定着し、身近なツールになるとともに、企業が各応募者にIDとパスワードを発行してデータベース化するようになったため、Web上での内定者管理がしやすくなった。IDとパスワードで認証することにより「内定者だけがアクセスできるサイト」を内定直後から提供できる上、辞退者にもそのつど瞬時に対応できる。

コンテンツは学生と社員がコミュニケーションをとるための掲示板や社内報など企業情報の提供、学生同士の情報交換が主体。特に目を見張るような仕組みや内容はないが、「たとえ書き込みが少なくても、いつでも内定先とつながる場所があるという事実が、内定者に安心感を与える」という声が採用担当者からよく聞かれる。

その一方で、「最近は選考途上で知り合った志望者同士がすぐにメールアドレスを教え合い、情報交換するなどといったコミュニケーションツールを、学生は気軽に活用している。内定者も例外ではなく、こちらが用意しなければ彼ら同士で勝手に掲示板を作ったり、メーリングリストを作ってしまう」という懸念も生まれている。

「ネット上での就職関連の掲示板情報が内定者同士のメーリングリストで話題になり、”ホントにオレたち、この会社に入って大丈夫か?”という話にまで及んだことがあり、不安をぶつけあううちに何人かが辞退してしまった」(03年内定者)という事態も起きている。そうした昨今、「情報交換するなら、われわれの目の届くところでやってほしい。”サロンを用意したから、ここでおしゃべりして”という感じで」(情報サービス・採用担当者)という声もあがる。

▼「即戦力」に近づけるために

内定者の確保・維持にとどまらず、入社前から人材育成を始めたいという企業ニーズも高まっている。「特に今年は、内定者段階から色々教え込もうと考える企業が出てきた」と話すのは前出の岸田氏。

「入社後の研修を見据えて、より高い効果を出していくための内定者研修といった視点で考える企業も増えている。また、内定者自身も入社後への不安から事前教育を歓迎し、熱心に取り組むし、成果も上がっている。」

確かに以前に比べて、入社への不安や社会人として準備の必要性を感じる学生が増えている。「学生は放っておかれることに不安を感じますから、入社前の教育研修は安全材料になる。また、就職後に生かせるスキルを身に付けたい、と内定後に自主的に勉強する学生も出てきている。TOEICのスコア目標を立てて努力したり、入社後の仕事に関連した簿記や住環境関連の資格取得をめざしたりといった具合に」(法政大学就職部長・谷口浩氏)。

就職活動を終わらせることが、必死で得た内定が徐々に「就職先」として認識され始める過程で急に戸惑いや不安を感じるという話も最近、学生からよく聞かれるようになった。そこで「就職をリアルにする作業が必要」(02年内定者)になっているらしい。

大学側も「学生にとって負担という話は聞かないし、”マニュアル世代”には内定と入社をつなげるプロセスが必要だから」(谷口氏)と容認する。ただ「実施にあたっては、内定から入社までの研修やフォローのプロセスを企業側から予め提示して欲しい。マニュアル世代には道筋が必要だ」とのこと。

(途中割愛)

▼内定者研修のゆくえ

さて今後、内定者研修はどうなるのか?「入社前に新入社員のレベルをそろえ、効率よく即戦力を育てたいという企業の要求は高まっており、入社後以上に内定者研修に力を入れる企業は増えていく」と岸田氏。さらに、比較的低コストで場所を問わず、個々人のレベルやペースにあわせて学習を進められるeラーニングの需要が高まる、と同氏は読む。

採用側本位の研修は確かに学生の負担にもなる。しかし、内定者自身が就職に向けた不安があり、学習ニーズがあるなら、それに応える仕組みも必要であり、うまくいけば双方のメリットになる。そのためには「就職活動を終わらせるための内定」ではなく、応募段階から戦略的に、入社を楽しみにできる内定者を育てることにまず取り組む。それが教育効果を高める最大要因ではないだろうか。

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