NetLearning in News ~掲載記事一覧~
日経産業新聞 2008年(平成20年)1月15日 17面
細切れ時間 5分から学習
漫画・テスト…飽きさせず
インターネットを活用して学習する「eラーニング」がジワリ広がっている。集合学習に比べて、自分のペースで学べるのが最大の強み。ここ数年の技術革新を背景に、個性的なレッスンも登場している。企業研修の主役になりつつあるeラーニングを活用した勉強法の最前線を追った。
「ようやくシーズン3に突入しました。本当におもしろい。はまっています」――。大手メーカーに勤める由美子さん(36)は笑う。
『シーズン3』という言葉を聞くと、次々に続編がつくられる海外テレビ番組の話と思いきや、「違う違う。英会話の勉強のことよ」
彼女が受講しているのは「イングリッシュ Aya Pod」というeラーニング。専用のホームページ(http://www.ayapod.com/)から申し込むと、自分の携帯音楽プレーヤー「iPod」に教材を取り込むことができる。
イヤホンを借りると、ネーティブスピーカーが映画の話題や恋愛、社会ネタなどを雑談している感じ。5分ぐらいでいったん終了。もう一度、同じ内容の話が繰り返されるが、今度は英語のセンテンスごとに日本語訳が入る。「スラッシュ和訳」という手法で、テキストなしで内容が理解できるようになっている。
アドリブ表現などの解説もついている。進行役は「高校を卒業するまでまったく英語が話せなかった」というAyaさん。さらにメールマガジンによる理解度チェック問題も毎日出題されており、英語が苦手な人への心配りは十分だ。
1シーズンあたり6-12のエピソードで構成されている。1日あたり10-20分学べば、3ヵ月ぐらいで終了できるほどのボリューム。今月18日には最新のシーズン6が配信される予定。
サービスを提供しているのは、eラーニング最大手のネットラーニング(東京・新宿)だ。企業研修と言えば、ホテルの一室などに社員を集める集合研修が一般的だが、同社によると「eラーニングは個人単位。空いた時間に自由に学べるのが強み。業務をストップして社員を集める無駄もなくなる」のが強みだ。
今後、「eラーニングはパソコンで学ぶだけでなく、iPodや家庭用ゲーム機『Wii』で学べる学習コースも整えていく」(ネットラーニングの岸田徹社長)。
コンプラ研修など人気
ネットラーニング(東京・新宿)は1,000を超える学習コースをそろえている。1998年の設立以来、延べ220万人が受講した。
追い風になっているのは、コンプライアンス(法令順守)を中心とする全社員研修の必要性の高まり。「パンフレットを配るだけでは効果は期待できない。学習記録がしっかり残るeラーニングに注目が集まっている」(岸田徹社長)という。
2007年度(4-12月)の売れ筋学習コースのベストテン(数量ベース)によると、1位は「実務に生かす!情報セキュリティの継続学習」だった。コンピューターウイルスの被害事例を紹介。セルフチェックシートによる復習も用意している。受講期間は6ヵ月で、料金は4,700円。
2位の「今日から実行!事例で学ぶコンプライアンス」は、郷原信郎氏が教材を執筆した。検事から桐蔭横浜大学コンプライアンス研究センター長に転身、最近では介護会社コムスンの売却先選定に携わった第一人者。受講期間は6ヵ月で、料金は4,700円。
全体的には、会社人としての行動基準を学ぶコースの引き合いが強い。英語能力テスト「TOEIC」対策や、表計算ソフト「エクセル」の操作法を身につけるコースもベストテンに入った。
[2007年4-12月の数量ベース、ネットラーニング調べ]
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