日経産業新聞　2008年（平成20年）1月18日　２面

法人向け中心に高い伸び
個人向け拡大にも追い風

　eラーニングは、教育産業分野でも高い成長を示す市場の一つ。特に目立つのは、企業研修を目的とした法人向けeラーニング。コンプライアンス（法令順守）や企業の社会的責任（CSR）などの危機管理の意識が高まっているのが背景にあるようだ。
　矢野経済研究所によれば、2006年度の法人向けeラーニング市場は05年度比11.7％増の670億円。07年度も7.5％増の720億円の見込みで高水準の成長が続く。
　一方、個人向け市場もじわり広がり始めた。eラーニング最大手のネットラーニング（東京・新宿）は、07年の個人向けサービスの売り上げが06年に比べ2.6倍に増えた。IT（情報技術）系や語学、パソコンソフトなどの講座の人気が高いという。
　野村総合研究所によると、個人向けの市場規模は05年度で120億円前後。法人向けの五分の一程度にとどまっている。高速大容量のブロードバンド環境が家庭に浸透し、動画や音声などをやり取りする環境が整ってきた。さらに、ビジネスパーソンが自己研さん目的でスキル習得に励む傾向も強まっているのも追い風。強力な教育コンテンツが出れば、個人向け市場が一気に膨らむ可能性がある。