NetLearning in News ~掲載記事一覧~

日経産業新聞 2008年(平成20年)12月19日

e-Biz 仕掛け人
wiwiw 育休者と会社つなぐ

 ブランクをブラッシュアップの期間に――。女性の職場復帰を支援する育児休業者向けサイト「wiwiw(ウィウィ)」は、すでに300社超が導入している。運営するのはeラーニング最大手、ネットラーニング(東京・新宿、岸田徹社長)子会社のウィウィ(同)。池田香織専務執行役員(41)は「企業と育休者を物理的・精神的につなげるツールとなっている」と話す。今月にはけがや介護で休職する人にもサイトを開放するなど、サービス拡充も続く。

ウィウィは資生堂が2001年、社員向けサービスとして始めた。「うちでも使いたい」という他社の声に応え提供を始めたところ、06年には導入企業が100社超に。07年1月にネットラーニングが同名の会社を設立し事業を引き継いだ。企業ごとに契約する仕組みで、利用料は育休者一人あたり月6300円。
 サービスは主にオンライン講座と、日記や掲示板、育児用語などの情報ツールで構成される。講座ではワード、エクセルなどのパソコンスキルやTOEIC、簿記などを学べるほか、料理や収納といった家庭・生活に関する情報も集めた。子育てや家事の合間の15分ほどでも学習できるよう工夫されている。
 育休者の悩みで多いのは「会社や社会から取り残されたという孤独感」(池田氏)。これに応えるのが「総合掲示板」「企業専用掲示板」などのコミュニケーション機能だ。総合掲示板は企業の枠をこえ利用者が情報交換する場として活用されている。「母親向け掲示板は多くあるが、ここには職場復帰をめざす人が集まっているのでモチベーション維持につながった」という感想が寄せられる。企業専用掲示板は人事担当者と育休者が情報交換する場。会社からのお知らせを掲示したり、同じ会社の育休者同士が交流したりできる。
 人事担当者や上司など管理する側の導入メリットも大きい。上司が育休者にメールを送る場合、どんな文面にするか悩むこともあるという。「情報交換メール」という機能では「赤ちゃんはそろそろハイハイにチャレンジしはじめた頃でしょうか」など、産前・産後のタイミングごとにメールのひな型を用意した。
 貴重な人材に復帰してもらう目的のほか、社会的責任(CSR)活動や採用活動のため導入する企業もある。名刺や会社概要、採用ホームページに「(ウィウィの導入を示す)『ウィウィマーク』を載せてもよいか、という問い合わせが増えている」(池田氏)。
 画面レイアウトも少しずつ変更している。当初のデザインは女性を意識してピンクを全面に出したが、男性の利用者も増やすためトップページをオレンジに。今月には病気やケガ、介護休職者などにもサービス提供先を拡大した。「育休者以外にも『会社は復帰を望んでいる』というメッセージを伝えたい」という企業の声を取り入れた。
 24時間の電話相談サービスや携帯電話で病気や病院について調べられるサービスも開始。ワークライフバランスへの企業の取り組み拡大に先駆け、今後も内容のブラッシュアップを続ける方針だ。(砂山絵理子)

(図省略)