NetLearning in News ~掲載記事一覧~

日経産業新聞 2010年(平成22年)9月9日

英国国立大学のMBA講座、企業人に『実践力』提供

 eラーニング大手のネットラーニング(東京・新宿、岸田徹代表)は、英国立オープン大学と提携した。日本で同大が11月開設するインターネットを活用した経営学修士(MBA)講座の窓口機能のほか、受講者のサポートなどを担う。ネットによる遠隔教育の分野で「実践力の育成」を旗印とする両者は、世界に通用する日本の企業人の人材育成を目指す。
 オープン大学は日本の放送大学に似た国立大学で、通信制の高等教育を実施している。1969年の設立以降、欧州のほか、中国、ロシアなど世界75カ国で各地域のパートナーを通じて講義を提供してきた。
 今回の日本でのMBA講座の開校にあたっては、同大の教材やカリキュラムを使用し、原則英語で授業をする。ネットラーニングは日本の受講者の窓口として、出願用紙の記入サポート、MBA取得までの学習プランのアドバイスなど出願前までの支援をする。受講中の言語サポートや、受講後の日本における学生・卒業生ネットワークの運営なども手掛ける。
 「既存の大学などはすでに独自のカリキュラムを持っているため、窓口には適さない。その点、ネットラーニングは新しい教育の形を育成していく姿勢が見られた」。ビジネススクール学長のジェームズ・フレック氏は、ネットラーニングを提携先に選んだ理由をそう説明する。
 同大が強みとするのは、実践力の育成だ。学習した内容を即時で実務に生かせるのが特長で、どうしても講義や理論が先行しがちな既存の教育体系とは相いれない場合が多いという。
 この点、国内で3200にのぼる企業・教育機関の利用実績を持つネットラーニングとの提携は、「日本企業からのインプットを吸い上げる」(フレック氏)意味も大きい。同大のMBAプログラムは、仕事を続けながら休職せずに在宅で学位を取得する人が主なターゲットで、現地企業の新しいニーズを把握する努力が欠かせない。
 実際、海外でのオープン大の社員教育の一環としての活用事例には、ナイキやノキアなどグローバル企業が名を連ねる。国内ではeラーニング最大手として多数の企業による活用実績を持つネットラーニングだが、同大が持つグローバル規模のネットワークは大きな魅力といえる。
 パソコンとネット接続環境があれば時間や場所を選ばずに学習ができるeラーニングと、両者の掲げる“実践力の育成”の親和性は決して低くない。同大の海外ネットワークをうまく活用できれば、ネット経由で必要なソフト・機能を提供する「SaaS(サース)型」の各種講座などネットラーニングの自社サービスの海外への飛躍的な広がりも見込める。
 6月に募集を開始して約3カ月。11月の開講に向けて、問い合わせは上々という。両者の新たな取り組みは「真のグローバル人材の育成」という課題にどこまで切り込めるのか。今後、いかにそれぞれの長所を持ち寄って相乗効果を出せるかが成功の鍵を握るといえそうだ。

(図表省略)