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財界 2006年(平成18年)10月24日 (154頁)

私の好きな場所

(~ネットラーニング社長 岸田 徹~ 写真省略)

 

私が八丈島を初めて訪れたのは10年ほど前のことだ。八丈島の自然に惚れ込み、ちょうど3年前の9月から八丈島に住んでいる。だからこの3年間、平日は東京で仕事をし、週末は八丈島の自宅に帰るという生活が続いている。私だけでなく女房も島がすっかり気に入って、島での生活を楽しんでいるようだ。
 八丈島は人口が9000人弱の小さな島だ。島には飛行機で行くのだが、羽田空港から1日4便出ていて、約40分で亜熱帯の島に到着する。朝イチの飛行機で帰ると、自宅に到着するのは8時半だから、自宅で朝食をとることができる。
 島にはハイビスカスやガジュマル、デイゴの花などが生い茂り、夏は都内に比べて5℃涼しく、冬は5℃暖かい。植物も気候も、全てが別世界に切り替わる。
 自然といっても単なる自然ではない。強烈な自然とでもいうのだろうか?雨は多いし、太陽も強烈だ。島のすぐ横には黒潮が流れていて、初めて見たときには、その黒さにびっくりした。
 私はもともと島巡りをするのが好きで、国内だけでも延べ100以上の島を旅行してきた。島の魅力は何なのか考えてみると、島は海も山もあって、それでいて地域の人たちが温かいということだろう。
 島にいると、漁師さんが朝釣れた魚をおすそ分けしてくれることもある。カツオ、メダイ、シマアジ、トビウオなど多くの魚が捕れ、そのいずれもが美味しい。ある漁師さんは、単なる通りがかりに大きなタイを置いていってくれたりもする。
 また、近所の方に野菜をいただくことも多いのだが、野菜などは自分でも栽培している。ナス、トマト、キュウリ、カボチャ、ジャガイモ、サツマイモ、スイカ、メロン……。こうやって数えてみると、結構、多くの野菜を栽培しているものだ。
 島では、ほとんどの人が、私が東京で会社を経営していることは知らないのだろう。時々、「仕事は何をしているの?」と聞かれたりする。東京にいると、会社の社長という肩書がどこに行ってもついてくるが、島に帰ると私はただのオジサンだ。
 島の人たちは職を持っているというよりも、自分で農業をやったり、漁業をやったりしているから、比較的時間を自由に使えるらしい。普段の私が東京で時間に追われて仕事をしていることを考えると、うらやましくもある。
 私はよく、町営の温泉でお湯につかりながら、空を見て、生きていることを実感する。そして、島の方々と会話をしながら、週末を過ごすのだ。これからも島の方々と親睦を深めることができたらいいと思う。

<八丈島>
自宅の庭にはデイゴの花が咲き、小鳥のさえずる声が絶えない。島には夏祭りや浜祭りなどの催し物が多く「単なる自然ではなく、人とのつながりが楽しい」という。 (写真省略)