NetLearning in News ~掲載記事一覧~

BiZpresso Vol.32 2007年(平成19年)11月6日

11月にも現法設立 まずは日系企業のニーズを開拓

eラーニングを手掛けるネットラーニング(本社・東京、TEL=03-5338-7411)が中国での事業展開を進めている。11月末をメドに上海に現地法人を設立し、まずは日系企業の中国人スタッフを対象にeラーニングビジネスを展開していく。中国におけるeラーニングの市場性と今後の事業展開、ネット教育の先々の展望について、代表取締役社長の岸田徹氏に話しを聞いた。

――御社はキヤノンや小学館、NTTラーニングシステムズなどが出資、98年に設立したベンチャー企業。企業内研修の分野を中心にeラーニングで成果を挙げている。
「当社は大手企業や自治体、大学など2,300以上の企業、団体、のべ200万人以上にeラーニングサービスを提供してきた。企業向けでは社員研修や役員研修など様々なコースを手掛けている。日本では既にeラーニングが浸透しており、企業研修の一分野として定着。同時にクライアントのニーズに対応しながら多様化している。勤務時間の一部を業務として割いて受講するというもの。受講期間は最大だと6カ月になる」

――中国においてはeラーニングを手掛ける事業社は少ないが、市場が成り立つ見通しはあるのか。
「市場性はこれからというところだが、既に日系企業の数社からお話をいただいており、ニーズの高まりを感じている。中国ではネット環境が整ってきたことから機が熟したといえる。当面は日系企業で働く中国人スタッフを対象に事業を進めていくが、日系企業は上海だけでもかなり進出しており、各地に拠点を構えていたり、工場を持つなど大規模な人数を抱える日系企業は多い。社員研修など社内では十分に対応できないという声も聞かれる」

――現地法人の設立と平行して顧客獲得も進めていく。中国で手掛けるeラーニングの内容は。
「まず日系企業の中国人社員研修が中心になる。ひとつは初期段階で日系企業のビジネスの進め方に関するものだ。ビジネスマナーに始まり、最低限の財務知識、費用対効果の考え方などについて講習する。次に企業のコンプライアンスに関してだ。海外における現地法人にも昨今求められている課題で、グループ企業の意識の統一が必要になっている。そして日本語教育。これは業界によって異なるが、ビジネス用語やメールのやり取り、文書の読み書き、報告書の作成などだ。受講者は工場の管理者などからホワイトカラーまで幅広い。中国ではeラーニングだけでなく、人を派遣して講習を行うことも考えている。日本では1114のコースを提供しているほか、500以上のカスタマイズも行っている。(※) 中国においては会社の規模や業種、業態など様々あることから、カスタマイズによる提案が中心になっていくだろう。当社には独自の開発部隊があるが、中国でも開発チームを組織していきたい」

――初年度には日系企業10-20社を開拓、7-8年後には年商100億円規模を目指している。
「まず日系企業から寄せられるニーズに対応していくことから始め、特に社員規模の大きな企業から営業をかけていく。その後、台湾・香港地区系、そして大陸系の企業を地道に開拓していきたい。日本では会社設立当時、“eラーニング”という言葉自体知られておらず、一社一社足で積極的に営業したものだった。上海でもそういう経験をしていかなければならないと思う。数年後には、大学、社会人教育、生涯教育など様々な分野に拡大していきたい」

――eラーニングは様々な可能性を秘めている。市場は黎明期だが、個人向けの生涯教育も加えればかなりの規模の市場性が期待できる。
「企業のeラーニングは米国では1兆円、日本では1,000億円市場ともいわれる。中国においては伝統的に個人教育の文化がある。技術習得、企業研修、生涯教育に市場性が出てきているのは世界的な傾向だ。中でもネット教育はその競争基盤になりつつある。一方で、人材教育はいまや企業にとって人材の定着化を図るための対策としても注目されている。米国のシリコンバレー然りで人材教育へ投資することで、スタッフも成長や充実を感じて定着する。人材の流動性が高い中国においても、eラーニングは、社員教育の有効な一手法として注目されていくだろう」

(図表省略)

※文中の提供コースの記載に一部誤りがございますので以下のとおり修正させていただきます。
  正しくは、「日本では1,114のコースを提供しており、うち500以上の カスタマイズも行っている(2007年9月末現在)」となります。