NetLearning in News ~掲載記事一覧~

日本経済新聞  2006年(平成18年)6月26日
eラーニング 企業から個人へ (5面)
大卒資格も取得

インターネットは「学び」の姿も変えつつある。利用者がパソコンとブラウザー(閲覧ソフト)などを使ってネット経由で学習する手法は「eラーニング」と呼ばれ、企業研修を中心に利用が拡大中。ブロードバンド(高速大容量)のネット常時接続が家庭にも普及してきたのにつれ、個人向けの語学学習や生涯学習にも広がり始めている。
 eラーニングは利用者が専用サイトにアクセスし、ブラウザーなどを使って教材を読み進めたり、試験を受けたりする方法が一般的だ。企業の場合、社員を会議室などに集めて研修するのと違って、社員一人ひとりが自分の都合の良い時間を使って学べるなどの利点がある。
 キヤノンや小学館などが出資するネットラーニング(東京・新宿、岸田徹社長)は、1998年から企業向けeラーニングを手掛けてきたこの分野の草分け的な存在。延べ111万人の研修実績がある。岸田社長は「当社以外のサービスも含め、日本全体で500万人程度の受講経験者がおり、5年後には1000万人に拡大する」とみている。
 「当社はIT(情報技術)企業が技術者に最新技術を学ばせる用途が多かったが、一般企業の利用も定着してきた」(岸田社長)。個人情報保護法の施行を受け、社員全員を対象にした研修や新卒の就職内定者向けの入社前研修などの新たな需要が生まれている。
 東京大学医学部付属病院(東京・文京)がシャープシステムプロダクト(千葉市)と共同でシステムを開発して、eラーニングによる医療安全対策研修を導入するなど、一般企業以外にも導入が広がっている。
 最近、eラーニングを手掛けている各社の間で、注目されているのが個人向けの学習サービス。ネットラーニングも今春からネットラジオ「ポッドキャスティング」を併用した英語と中国語講座を始めた。
 家庭でのブロードバンド接続の普及を背景に、動画を使ったeラーニングも登場している。ポータル(玄関)サイト運営などのNTTレゾナント(東京・千代田、資宗克行社長)が、アルク(東京・杉並、平本照麿社長)と組んで始めた「TOEIC完走シリーズ」は、動画による面接を併用したサービスだ。
 専属カウンセラーと月1回、30分程度面接することで学習意欲を高め、郵送された教材を使って自習する従来の通信教育よりも最後まで続けやすくすることを狙う。
 リソー教育の子会社の日本エデュネット(東京・豊島)も高校生を対象にネットテレビ電話を使った会員制自習室事業を始めた。
 2007年春には、eラーニングで大学卒業資格を取得できる「サイバー大学」(福岡市)が開校予定。ソフトバンクグループなどが4月に大学の設置認可申請を行った。IT分野の人材を育成する「IT総合学部」に加え、世界遺産の保存・活用などを学ぶ「世界遺産学部」も開設予定で、生涯学習の目的で受講する人も増えそうだ。

(~eラーニングの大学向け教育コンテンツ開発現場~ 写真省略)