NetLearning in News ~掲載記事一覧~

日経産業新聞 2006年(平成18年)6月28日 2面

インサイダー取引防止
ネットで啓発講座

 キヤノンや小学館などが出資するeラーニング(インターネットを使った遠隔教育)大手のネットラーニング(東京・新宿、岸田徹社長)は、インサイダー取引防止のeラーニング事業を開始した。不適切な株取引を防ぐための啓発講座を開設。村上ファンド事件をはじめ、同分野に関心が高まっているのを追い風に需要を掘り起こす。

(~受講者の判断力養成に重点を置く~ 図表省略)

ネットラーニング、開設 罰則や監視体制

 ネット講座「今日から実行!事例で学ぶインサイダー取引防止」を始めた。ネットラーニング側のサーバーに受講者がアクセスして学べる。
 講座では証券取引制度におけるインサイダー取引の意味や罰則、注意点、監視体制などを解説する。特に、受講者の判断力養成に重点を置く方針。
 企業内でどういう時に内部情報を知りうるか、自社や関係先の重要事実を知った際はどうするかといった実例をもとに、対処法を考えてもらう。標準学習時間は3時間。受講者1人あたりの価格は4,700円。
 株式市場では個人が株取引に参加することが珍しくなくなった。企業も社員が個人で株を売買しているという前提に立ち、株取引における情報管理や法ルールを啓発する必要があるとみられる。ネットラーニングはこうした状況を受け、企業のインサイダー教育需要が高まると判断、年間100社の研修採用を目指す。
 ネットラーニングは金融分野のネット教育では、オンライン証券大手のマネックス・ビーンズ・ホールディングスと共同で、一般の個人投資家向けの株式投資・資産運用講座にも取り組んでいる。今後も企業・個人向け合わせて金融分野の講座を充実させる。

法令順守の研修増加
eラーニング追い風


ネットラーニングがインサイダー取引防止教育に力を入れるのは、企業の現場でコンプライアンス(法令順守)など個々の社員の行動規範に関する研修が増え、eラーニング各社の商機につながると期待できることが背景にある。
 野村総合研究所の予測では、企業研修用のeラーニングの市場規模は2008年度で約800億円になる。ソフトの使い方などIT(情報技術)スキルの習得が先行したが、徐々にビジネス分野や行動規範分野にも広がっている。代表的なものが個人情報保護法の施行などの情報セキュリティー教育だ。
 企業不祥事の防止を目的とするコンプライアンス研修も増えており、ネットラーニングも講座を手掛けている。
 eラーニングの提供事業者には大手IT関連企業のグループ会社も多い。富士通ラーニングメディアではCSR(企業の社会的責任)コースを用意し、環境マネジメントなどの教育を提供している。
 行動規範の順守は全社員に共通で求められるテーマであり、ネットによる画一教育に向いているとの見方もある。各社は今後も研修コースを充実させる考えで、事業者の競争が激化しそうだ。

(~国内のeラーニング市場規模予測~ 図表省略)