NetLearning in News ~掲載記事一覧~

日経産業新聞 2006年(平成18年)10月27日 2面

ネットラーニング
eラーニング 個人向け攻勢

 インターネット教育大手のネットラーニング(東京・新宿、岸田徹社長)は個人向けeラーニング(遠隔教育)事業を本格展開する。ネット版ラジオ「ポッドキャスティング」に無料配信している英会話番組をベースにした講座を始めたほか、英語学習に関するコミュニティーサイトも12月に開設する。これまで法人向けを中心に事業を展開してきたが、個人向けも有望市場になるとみて攻勢をかける。

(~ネットラーニングが開設した個人向け英会話講座の専用サイト画面~ 写真省略)

まず英会話講座スタート
情報・交流サイトを開設


 新たに開設した講座は1月に試験的に配信を始めて人気を集めたポッドキャスト番組「イングリッシュ・アヤ・ポッド」の内容を拡充した。1回の授業の長さは、同番組のほぼ2倍の約50分。男女2人の外国人講師による台本を使わない会話「ネイティブトーク」や日本人講師による和訳と解説などで構成する。
 受講生は専用サイトにアクセスし、2週間おきに配信される授業の音声ファイルとPDFファイルをパソコンに取り込んで学ぶ。音声ファイルはパソコンのほか、「iPod」などの携帯音楽プレーヤーでも聞くことができる。3ヵ月が1単位で、料金は3,150円(税込み)。初年度3万人の契約獲得を見込む。
 新設するコミュニティーサイトでは、外国人講師陣のブログ(日記風の簡易型ホームページ)を掲載するほか、英語学習に関する質問をメールで受け付けるサービスなども提供する計画だ。
 ネットラーニングは企業向けeラーニングの老舗で、受講者数は延べ2000社、130万人に達する。個人向けは営業効率が低く本格展開が遅れていたが、ポッドキャスト番組の人気が高かったため個人向けの需要も見込めると判断した。今後、IT(情報技術)系やビジネス系の講座でも個人向けを開設することを検討する。

ブロードバンド化も後押し 需要拡大に期待広がる

 野村総合研究所の調べによると、2005年度のeラーニング市場規模は760億円。このうち個人向けは全体の約15%の120億円にとどまっている。だが、団魂世代の大量退職や若年層の雇用流動化で、再就職のための自己啓発を目的とした個人向けeラーニング市場は、2010年度に3倍の360億円に拡大する見通しだ。
 個人向けのeラーニング市場の拡大は、家庭内でのブロードバンド(高速大容量)通信の普及で、動画像などの教育コンテンツ(情報の内容)が容易にやりとりできる環境が整ってきたことも追い風になっている。趣味や教養目的を含め、今後、個人向けの需要は着実に拡大が見込める。
 個人向けは企業向けに比べ営業効率が低いことが課題だったが、今後はネットによる広告や受講生募集が一段と加速することが予想される。企業向けeラーニングの老舗であるネットラーニングが個人向けを本格展開することで、今後、競合の間でも同様の動きが広がることになりそうだ。